亀戸に新名所誕生。明治通り沿いに現れた“浮世絵シャッター”
明治通り沿い、五ノ橋豊国通りに新たな浮世絵スポットが完成しました。シャッター一面に大胆に描かれたのは、亀戸が誇る浮世絵師・三代豊国の作品をもとにした歌舞伎絵。
実物は想像以上の迫力。シャッター前に立つだけで、江戸の舞台の中に入り込んだような感覚になります。「シャッター前でこうやって遊ぶ」のが、これから亀戸の定番になってほしい——そんな声も思わず出てくる存在感です。

亀戸一丁目、地元有志の手でよみがえる江戸の記憶
この取り組みを進めたのは、亀戸一丁目町会の有志の皆さん。
町会役員の林さんが、三代豊国生誕の地・亀戸の認知度を高めたいという思いから、林ビルのシャッターをラッピングしました。
題材となったのは、
安政5年(1858年)10月、市村座で上演された舞台
『小春宴三組杯觴(こはるのえん みつぐみさかずき)』。
この舞台を三代豊国が描いた歌舞伎絵が、現代の亀戸で再び命を吹き込まれています。
名台詞で知られる名場面を描いた一枚
描かれているのは、
- 幡随院長兵衛役:市川海老蔵(五代目)
- 白井権八役:河原崎権十郎(初代)
この二人といえば、有名な掛け合い。
「お若えの、お待ちなせえやし」
「待てとお止めなされしは、拙者がことでござるかな」
江戸っ子の心を掴んだ名場面が、シャッターという日常の風景の中で再現されています。

亀戸がつないだ役者と浮世絵の縁
さらに、この物語は亀戸の歴史と深く結びついています。
市川団十郎(九代目)の母・お為さんは、亀戸の天神橋際にあった越前屋の女性。
三代豊国の幼馴染でもあった五代目市川海老蔵は、亀戸をたびたび訪れ、越前屋の常連でした。
江戸一番の人気役者が、亀戸で評判の美人と結ばれ、名跡・市川団十郎の系譜が生まれた——そんな粋なエピソードも、このまちには息づいています。
まちを歩くと、物語に出会える亀戸へ
浮世絵や歌舞伎は、決して遠い昔の文化ではありません。
こうしてまちのシャッターに現れることで、亀戸の日常と自然につながるのが、この新スポットの魅力です。
亀戸を歩くなら、ぜひ立ち寄ってほしい場所。
写真を撮るもよし、台詞を思い浮かべるもよし。
江戸の物語が、今も静かに息づく亀戸の新名所です。

